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建築家センムト

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NHKでエジプトに関するテレビ番組をみていると、ハトシェプスト葬祭殿(上写真、wikipediaより)が登場した。この建造物を設計したのはセンムト(Senenmut、下写真)というハトシェプストの側近であった人物であったという。わたしは恥ずかしながら初めてこの建築家の名前を知った。

われわれ建築を学ぶものは、建築史といえば西洋建築史であり、古代ギリシャ、ローマの建築から記述がはじまる。つまり、それ以前の古代エジプトの建築史などは蚊帳の外。興味をもったものしか学習しないだろう。わたしは一度エジプトを訪れ、その巨大な建造物に腰をぬかしたが、自分で興味をもったのは西洋(特に近代)の建築であった。

あるお世話になった建築家の方に、古代ギリシャのパルテノンのような建造物には数学(比例)が感じられる、と教えられたことがある。わたしも同感なのだが、ハトシェプスト葬祭殿にも古代ギリシャとは異なる数学が感じられると今日テレビをみていて感じた。

中央に伸びやかな傾斜路をもち、古代ギリシャとは異なる古典的な列柱がかもしだすリズム。岩石から秩序を掘り起こしたようなプロポーション。建築家センムトの設計意図は明らかだ。それは、カオスとしての自然からまさに「建築」と感じられる秩序を現前させることであったのだろう。強烈な太陽光を意識したデザインのようにも思われる。センムトは天文学に精通していたというから、彼のデザインが宇宙と連関するようなコンセプトであったかもしれない。よく知られているように、こうした古典性の表層をナチスは建築に利用した。彼らはこうした古典(廃墟としての古典)を永遠と位置づけ、建築に表現したのである。

しかし、ハトシェプスト葬祭殿はナチスの薄っぺらな古典的建築を遙かにしのぐ繊細さを持っていると感じられた。建築から繊細さが失われること、それは建築の危機と深く結びついているのである。
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by kurarc | 2018-03-27 21:16 | architects
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