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増田義郎著『コロンブス』 コロンブスの実像

増田義郎著『コロンブス』を一気に読了。1979年の著書であるが、これほど簡潔にコロンブスの本質をつかんだ書物は今まで読んだことはない。スペインやイベロ・アメリカ文化の碩学、増田先生の力量はやはり並大抵のものではない。

この著書で興味深いのは、たとえば、コロンブスの直筆で残されている言語がジェノヴァ生まれであるにもかかわらずスペイン語(それもポルトガル語に影響された)であることの謎をコロンブスの同時代の文化状況から読み解いていること。また、当時の地中海世界の中でコロンブスの活動を相対化し、ルネッサンス人としてのコロンブス像を的確にとらえていること。またコロンブスの航海の大きな動機が彼の終末観によるものであることetc.、コロンブスは特殊な人間ではなく、当時の世界像、価値観から当然現れた人物であることを見事に描き出していることである。

コロンブスはもともと、スペインから逃れたユダヤの家系の人間であることは常識となっているが、彼がスペインで活躍できたのはコンベルソ(ユダヤ教からキリスト教への改宗者)らの尽力によることが大きいということも、この著書で強調されている。

この著書を読んだものは、今までイメージとして描いていた月並みなコロンブス像を根本的に変えられるはずである。さらに、市民講座の内容をまとめたものであるだけに、日本語の文章も要点を簡潔に述べられており、大変読みやすい。

日本人によって著された最も明快なコロンブス像は、この著書が嚆矢であることは間違いないのと思われる。コロンブスに興味のあるもの必読の著書であろう。

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by kurarc | 2018-04-08 18:10 | books
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