立体音響の発見 クレマン・アデール

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1881年、パリで開催された「電気博覧会」の出来事である。クレマン・アデールはパリオペラ座のステージに80台の電話送話器を1列にセットし、3km離れた会場に設置された受話器で聴く、という実験を行った。偶然、観客の中の一人がその中から適当な距離に置かれた2台の受話器を左右の両耳で聴くと、あたかもオペラ座の客席で聴いているような立体的な音が聞こえることを発見した。アデールは早速、その現象を記録したという。

この偶然の発見が、ステレオフォニック(立体音響)の始まりとなったのである。人間の耳は二つしかないが、360度、前後、上下といった空間を聴覚し、脳内で認識しているという。こうした認識はサラウンド音響として、前方の左右に設置されたスピーカーから、5.1ch等へと発展する360度のサウンドキャンパスへと拡大されていくことになる。(『サラウンド入門』沢口真生他著)

音とは幽霊である。壁から壁を通り抜けてしまうのだから。音という物理現象を最近探求しはじめたが、これほどありふれた物理現象でありながら、わたしはその科学的根拠についてまったく無知であった。雷はなぜ大きい音(空気の膨張による)がするのかとか、夜間には遠くを走る鉄道の音がなぜ聞こえるようになる(空気の温度差による音の屈折による)のかとか、それらはすべてこの音の物理現象による。

それにしても、アデールのような発見はすべて19世紀に存在している。20世紀はそれらを厳密に発展させただけに過ぎないと思える。21世紀もまた20世紀の発見を進めているだけかもしれない。そう考えると、21世紀には何が発見され、何が22世紀にバトンを渡されることになるのだろうか?

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by kurarc | 2018-07-12 22:40 | France

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