田村志津枝著 『台湾発見』 映画で読む台湾近現代史

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台湾、中国映画の影響もあり、再びアジアに注目している。特に現在は台湾に興味をもっている。それは、このブログでも書いているように、初めて行った海外が台湾(1984年6月)であったことも大きいが、その当時の台湾のことをわたしはなにも理解していなかったと気づいたからである。

田村志津絵枝著 『台湾発見』は、台湾映画で読む台湾近現代史、といった内容の書物である。わたしがこれまでにみてきた台湾映画を深く理解するためには格好のテキストとなっている。この著書は1997年に出版されていることもあり、特に20世紀までの台湾映画を理解するための優れたテキストでもある。

たとえば、わたしが初めて台湾を訪れた頃、台湾では『さよなら、再見』という映画が準備されていたことを知った。この映画は未見だが、日本人買春を扱い、痛烈に日本を批判した映画だという。現在では日本と台湾も当時以上に関係が深まり、また経済的関係も親密になったことから、こうしたテーマを扱う映画が今後つくられるとは考えづらいが、わたしはこうした歴史的事実を何も知らず、台北の街を彷徨っていたのである。

また、わたしの最も好きな映画といってよい『悲情城市』や『恋恋風塵』の映画の中で、なぜ炭鉱の労働者が言及されるのか、また、「おまじない」のようなシーンが登場するのかについて、台湾の実情とともに田村氏は解説してくれている。

映画は歴史的事実を知らなくとももちろん楽しめるが、それは楽しめるだけで理解できてはいないのだ。映画はこうした歴史を知ってもらうためだけにつくれる訳ではないと思うが、歴史を知ることにより映画を理解する深度は確実に深まると言える。映画をはじめ芸術作品とは、自分を写す鏡なのである。

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by kurarc | 2018-10-09 23:54 | books

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