映画『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』

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以前から観たいと思っていたエドワード・ヤン監督の映画『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』をやっと観終わった。4時間近くの映画である。こうした上映時間の映画は最近ではあまりお目にかかれないが、こうした長時間の映画を観るのはベルトリッチの『1900年』以来かもしれない。

問題作である。この映画を理解できる日本人は数少ないと思われる。わたしが受けた印象は、アンゲロプロスと小津、溝口の映画を同時に観ているような印象であった。この映画を理解するためには、台湾の1960年前後の台湾人心理を知っていなければならないし、もちろん、台湾の戦後史を理解していなければならない。

実際に起きた少年の殺人事件をもとにヤン監督が映画にしたものだというが、この映画はホウ・シャオ・シェン監督の『悲情城市』の影響もあったに違いないし、台湾の民主化の影響にもよるだろう。台湾人が冷静に台湾の戦後を見つめること、表現することが許される政情になったことがこの映画の出現する大きな要因になったことは間違いない。

こうした「暗い」映画を好んで台湾人が観るとは思えないが、ヤン監督にとって表現しなければという衝動を抑えきれなかったのだろう。外省人の苦悩、そして戦後にも消えない日本の陰についてこれほど濃密に表現した映画はこの映画以降ないのではないか。

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by kurarc | 2018-10-27 11:38 | cinema

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