中沢新一著『古代から来た未来人 折口信夫』

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地元の書店で空き家に関する書物を探しているときにたまたま目にし、購入した書物である。民俗学の書物を最近読んでいなかったことと、中沢新一が折口信夫についての書物を書いていることは知らなかったため購入。

ちくまプリマー新書はおよそ高校生までを対象にした新書だと思うが、その内容は大学教養課程程度のレベルだと思われた。折口の古代論、「まれびと」論から芸能論、最後には神道、宗教論まで幅広く取り上げられている。折口の入門書と言ってよい内容であった。

興味深かったのは、わたしが「古代」といって思い浮かぶ奈良時代は、中沢にとっては古代ではないということ。中沢にとって奈良時代はむしろ古代人の心の理解が希薄になりかけた時代と認識されていることである。つまり、奈良時代とは都市社会であり、極端に言えば、すでに自然と一体感を失った我々と同じような社会であったのである。

中沢は折口が古代人の特徴としてとりあげた類化性能(アナロジーを感じる能力)に長けていたことから、日本では「神」という言葉より、「タマ」と呼ばれる霊力を評価する。むしろ、「タマ」は「神」よりも原初的な「精霊」といってよいものであったということである。

後半では折口の戦争体験から神道の宗教化への思想などについて触れているが、このあたりは難解で、折口の著書の熟読が必要となりそうであるが、折口が超宗教として神道を捉え直そうとしてた?と読めたが、このあたりは門外漢のわたしにはよく理解できなかった。

それにしても、水平神としてのまれびと論など、わたしがかつて沖縄に住んでいたこともあり、あまり珍しい認識ではなかったが、柳田国男などの民俗学が主流であった日本において、まれびと論などを論じることは相当勇気のいることであったに違いない。折口の著作を少しずつでも読んで見たくなった。そして、彼の小説なども。

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by kurarc | 2018-11-04 15:16 | books

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