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アントニオ・タブッキへの郷愁から

ユリイカ2012年6月号『アントニオ・タブッキ』の中の堀江敏幸氏と和田忠彦氏の対談を読んだ。一人の作家を理解することはその作品だけでは理解できないと思うが、この対談は、そうした作品から漏れたタブッキの人間について理解する手がかりを教えてくれている。

どうもタブッキがペソアというポルトガルの詩人の研究を始めたのは、パリで彼の妻となるポルトガル人マリア・ジョゼとの出会いではないか、といったことが対談の初めに記されている。マリアがペソアの研究者であったのである。好きな女性から、あるいは付き合った女性から男性は何らかの影響を受けるものである。それは、女性についても言えることではないだろうか。

わたしはよく初めて会う女性にその女性の趣味を訪ねる。ある女性はバイクが趣味だ、と言ったりする。その容貌からどうみてもバイクが好きな女性とは思えない。多分、彼女はバイク好きの男性と過去に付き合っていたのだろうと想像する。

そのように男女は多かれ少なかれ影響を与え、与えられる存在だと思うから、タブッキは偶然にもマリアとの出会いによってポルトガルにのめり込み、果てはポルトガル語で作品を書くようにもなってしまった。そうした、彼の生き方、作家としての表現について、もう少し踏み込みたくなってきた。彼が亡くなって7年になるが、日本語で読める彼の作品を少なくともすべて眼を通したいと思うようになった。

それと共に、忘れようとしていたポルトガル(わたしの場合はリスボンに対する郷愁)への郷愁も蘇ってきた。最近ポルトガルに行った知り合いの方から、随分と変わりましたよ、と情報をいただく。それがどのような変化であるのか気になってきた。今年はもしかしたら20年ぶりにポルトガルに行くことになるかもしれない。

by kurarc | 2019-01-24 16:23 | Portugal