映画『FIRST MAN』
この物語は、わたしと同時代の物語であり、ニール・アームストロングの物語だが、彼は、この月面着陸という目的を果たすために、多くの命を失った経験が語られていた。最も大きな死は、1961年に娘カレンを病で失ったこと、そして、1967年、親しく付き合っていた同僚を失ったこと。こうした死がなければ、彼はアポロ11号に乗り込むことはなかったと思われる。これは、ニールの運命としか言いようがない。
この映画は良き時代のアメリカを描いたものとして、政治性をもってしまうことも予想されたが、そのあたりをうまく交わして、人間のドラマを中心に描かれている。また、映画音楽もかなり手が込んでいて、アナログ・シンセサイザーやテルミンを使ったり、ノイズ音楽を思わせる音が各所に挿入されている。(町山智浩氏の解説による)
出来の良い映画であったと思うが、なにか強烈なインパクトに欠けている。それが何なのか?ライアン・ゴズリングの一人芝居的なところが目立ってしまったのか?配役に問題があったのか?シナリオか?映画としてもう一つ詰めが甘かったように思われた。よく言えば、こうした大きな歴史的事件をさらりと描ききったことかもしれない。ニールは冷静沈着で、私生活を表に出さないタイプの人間だったというから、その影響もあるのかもしれない。ニールらしい映画に仕上げたということだろうか。
*シアタス調布は、55歳以上はすべての映画を1,100円で鑑賞できるサービスを行っている珍しいシアター。椅子の座り心地、音響もよい。
by kurarc | 2019-02-17 20:48 | cinema