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映画『熱波(原題 Tabu)』再見 テレーザ・マドルーガとの再会

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映画『熱波(原題 Tabu)』(ミゲル・ゴメス監督)を久しぶりに再見。この映画でピラールという信心深い中年女性の役で登場するテレーザ・マドルーガ(下写真)の演技を確かめたかったからである。

テレーザ・マドルーガは映画『白い町で』の中でブルーノ・ガンツの相手役としてポルトガルの女性らしい演技で印象深かった。そのテレーザがこの映画に出演していることを以前この映画をみたときには気づかなかった。彼女を初めて映画でみて、35年経っていたから、気づかないのも無理はないが、再びこの映画を観て、幼なじみに35年ぶりに再会したような感激があった。彼女は着実に演技を磨き、その落ち着きと、地に足の着いた演技を身につけていた。

この映画をみるのは2回目になるが、かなり実験性の強い映画である。サイレントの手法を取り入れたり、ポップスの音楽を挿入したり、アフリカでの映像にかなりの比重をおいたりと、主題はタブーを犯した二人の男女の恋愛を描いたものだが、その単純な過ちの中に様々な情景と時間を重ね合わせた映画と言える。最初にみたときよりも見応えのある映画であることに気づかされた。特に、テレーザの演技がよい。お手伝い役に黒人を配役したり、植民地での原住民との交流など、いかにもポルトガル世界の過去を想像させる。そうした時間、歴史の挿入に嫌気がさすような鑑賞者も存在するかもしれない。

この映画でもっとも感心したのは、最初と最後に挿入されたJoana Sa の演奏による「Insensates」の変奏曲である。よく知られたアントニオ・カルロス・ジョビンによる曲のアドリブであるが、「Insensates」の原義「軽率な行動」の意があるから、映画の主題「Tabu タブー」と対置させたのかもしれない。(『Tabu』はムルナウの映画の名前から採用されたとWikipediaにあるが・・・)

テレーザ・マドルーガはリスボンを舞台とした映画『イマジン』にも出演していたことを最近知った。わたしが彼女のことを忘れていただけで、彼女は多くの仕事の経験を積んでいたのである。決して美しい女優とは言えないが、個性的な名脇役といえる女優である。彼女の円熟した演技を今後も期待したい。

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by kurarc | 2019-03-02 23:45 | cinema