映画『ローズヒルの女』
映画『白い町で』の6年後の映画となるが、作風は近い。舞台は霧で霞むスイスの山の中の村。ここにインド洋(ローズヒルという街から来たことになっている)の島(多分、モーリシャス)からの女性が嫁いでくるが・・・ここでもタネールは男の愚かさを容赦なく描いている。そして、いつも登場する行き場のない人、ここでは「ローズヒルの女」ジュリーが最後に悲劇を迎えることになる。
タネールの映画はかなりしっかりとした物語性があるのだが、映画を見終わった後、その物語がいったい何だったのかが宙づりにされてしまう。そして、タネールの映画は観ることで大きな満足感は得られないために、すぐに何度も繰り返し観たいとは思わないのだが、ある日、記憶の中に突然、彼の映画が蘇ってくるのである。
『白い町で』のパンフレット内のフィルモグラフィーを注意深くみると、彼は1966年に『ル・コルビュジェ-チャンディガールの町』というドキュメンタリーを撮影している。これは、いつか公開されることを望みたい。そして、わたしはもう一度『レクイエム』というタブッキの小説を映画化したものを観たいのだが、VHSにもならない。残念である。
by kurarc | 2019-03-11 22:35 | cinema(映画)