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代官山今昔 都市の品格とは


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久しぶりに代官山を訪れた。代官山は20歳の頃、ある設計事務所がヒルサイドテラス内にあり、アルバイトに通った街である。その頃代官山には同潤会アパートがあった。傾斜地を利用した同潤会アパートは敷地になじみ、すばらしい住環境を形成していた。アパート内には銭湯があり、また、誰もが利用できる食堂もあり、わたしはたまに利用した。おばさんが窓口にいて、定食を頼むと、勝手にソースをかけてくれる。余計なことをするな、と当時は思っていたが、今では懐かしい想い出である。

その当時と比べると、代官山は商業施設が増え、超高層建築も建設され、随分と様変わりしてしまった。ヒルサイドテラス周辺がかろうじて当時の記憶を残しているが、わたしからみると、随分と品格のない都市に変化してしまったな、と思う。

最近、自分でもよく使う言葉に「品格」がある。人としても品格をもっていたいし、ものにも品格がある。都市にも建築にも品格がある。言葉にも食事の仕方にも品格が現れる。すべての面で品格を失いたくないと思いながら生活をしている。それは難しいことだが、わたしの目標でもある。

都市にも品格をもってほしい。建築に携わるものであれば誰もそう思うだろう。しかし残念ながら、品格を感じる都市は少ない。特に東京都内ではなかなか経験できない。品を感じるのは地方の都市の方が多い気がする。わたしの中で同潤会がある当時の代官山がそうであったが、今は昔のことになってしまった。

*上写真:ヒルサイドテラス。この奥に見える緑を過ぎた地下にアルバイト先の事務所があった。

*下写真:ヒルサイドテラスと蔦屋との境界。このあたりは、ヒルサイドテラスとの連続がよく意識され、外構がデザインされている。こうした連続がすべての領域に広がっていければよかったのだが・・・

*それでは、品格を感じる都市とは何か?それは都市がきれいか汚いかでもないし、お金をかけることでもない。都市に「筋が通っている」こと、と言ったらよいだろうか。2月に訪れた新潟の高田にはそうした筋を感じた。建築の単なる集合ではなくて、建築によってその場所固有の都市がつくられている、と感じられる都市、それが品格のある都市である。

by kurarc | 2019-04-15 22:32 | saudade-memoria