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パリ ノートルダム火災

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パリのノートルダムの大規模な火災のニュースが入ってきた。驚きを隠せないと共に、パリの象徴とも言える大聖堂の大火災について悔やんでも悔やみきれない。パリ市民、及びフランス人の方々の悲しみは想像を絶することだろう。

起きてしまった事故は取り返しがつかないが、建築を専門とするものとしては、今後のことについて考えが及ぶ。まず、どのように修復(あるいは復原)されるのかについて多くの議論がなされると思われる。それはなぜかというと、特に今回倒壊してしまった尖塔は、ヴィオレ・ル・デュクにより19世紀に修復されたものだが、その修復の仕方は、現在の保存の概念と異なっていたためである。

ヴィオレ・ル・デュクは、それ以前のオリジナルの尖塔とは異なる尖塔を復元してしまったのである。(建築学でいうところの復原ではなかった)このことは現在では復原とはみなされない。したがって、フランスで今後議論されることは、ヴィオレ・ル・デュク案を復原する(つまり火災で倒壊した尖塔を復原する)のか、あるいはヴィオレ・ル・デュク以前の尖塔にもどして復原するのかについて議論されることになるだろう。(ヴィオレ・ル・デュク以前の尖塔の十分な資料があればのことだが)

こうした議論がなされた後、復原(修復・復元)工事に着手されることになると思われるが、フランスのことであるから、倒壊する前の図面等は残されていると思われる。あとは予算と技術的課題をクリアすれば問題はない。今後のフランスの文化力、技術力に期待するしかない。

*なぜこのような悲劇が、と思われる方々が大半だと思われるが、大聖堂や巨大なモスク等はこうした火災や倒壊を何度もくぐり抜けて再建され、今日に至っているものも多いのである。たまたま我々はこうした悲劇に居合わせてしまった、ということである。

*フランスでは尖塔について新しいデザインも公募するという。この考えには及ばなかった。但し、すべての案を検討し、火災前のデザイン(ヴィオレ・ル・デュク案)に復原することも考えられる。つまり、大きく、ヴィオレ・ル・デュク以前案、ヴィオレ・ル・デュク案、新しいデザイン案の3つからの選択になるということである。(2019/04/19)

by kurarc | 2019-04-16 21:25 | conservation design