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パリのノートルダム 水平性と垂直性


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ノートルダムの大火災から一夜が過ぎ、少し落ち着いてこの大聖堂を改めて眺めてみた。この大聖堂の特徴は、西側のファサードに限ると、その水平性と垂直性を見事に解決した造形であることに気がつく。

アミアン大聖堂、ランス大聖堂等と比べても、水平性の強調が目につく。ゴシック建築というと垂直性ばかりに目がいってしまうが、ノートルダムに限っては水平性と垂直性の対立を統一した大聖堂といった方がよいのではないだろうか。

この大火災の前日にたまたま『大聖堂のコスモロジー』(馬杉宗夫著)の古本を購入していた。この書物にもそのことが書かれていて、「王のギャラリー」と言われる旧約聖書に登場するユダヤの王たちを表現した水平性とその上部に表現された水平帯の表現は素直で、他の大聖堂と大きく異なる要素になっており、バランスのよいデザインにまとめられている。

「王のギャラリー」の像はフランス革命時に破壊され、19世紀に復元されたものだという。1977年、偶然にも彩色の残るオリジナルの像の断片が工事中の現場から発見されたということだが、このようにこの大聖堂は、何百年の間、様々な苦難に耐えてきた建造物なのである。

よって、再建されることは間違いないのだが、マクロン大統領が言うように、早急に再建すべきではないし、できるものでもないと思う。大聖堂のオリジナリティー、オーセンティシティーを慎重に議論した上で再建されるべきである。

*わたしが2年ほど過ごしたポルトガル(スペインも同様)では、「水平性(水平的)ゴシック」という様式がある。

by kurarc | 2019-04-17 23:11 | design