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コンバージョン 形態と機能の切断 都市の建築

建築の保存・活用やそれに伴うコンバージョン(機能転換)などをここ10年以上に渡り注視してきた。たとえば、コンバージョンは現在では常識的な建築活用法になった。

東京中央郵便局はその機能を一部残しながら、百貨店のような機能、スペースに転換された。また、篠原一男設計の『直方体の森』と名付けられた住宅は、現在、大半を美術館として使用されている。こうした事例はあげれば切りがないほどである。当初、建築家たちはクライアントのために一生懸命に特殊解としての建築を設計し、つくりあげる。しかし、その建築も時間の経過とともに、建築家がまったく予想もしていなかった機能に転換、変換されてしまう。

このような現象を最近、もう少し精緻に考えてみようと思っている。こうした形態と機能の切断について、設計当初、どのように想定していればよいのだろうかとか、コンバージョンを考えたときに、はたして建築の形態(デザイン)とはどのような意味をもつのか、機能転換を前提とした建築デザインとはetc.・・・などについてである。

建築が長生きをするとき、建築はまったく別人格になってしまうことがある、ということなのである。建築家はそんなことを考えても仕方がない、という意見もあるだろう。また、それは建築家の知ったことではない、と言う方もいるかもしれない。建築家たちはたとえば70歳、あるいは75歳以上生き、活動する場合、自分の過去の仕事が、予想だにしなかった機能に転換される場に立ち会うことが予想される。そうしたとき、建築家たちはどのように感じるのだろう。

建築の機能転換は、建築が新たな価値を付加され、生まれ変わることを望まれたのだから、そのような建築はある意味で優れた建築だといえる。わたしはそうした建築をアルド・ロッシの著作の名を借りて、ひとまず「都市の建築」と呼んでおきたいと思う。「都市の建築」は、都市の一員として再認識され、都市の中にしっかりと根付いていく建築であり、その後、都市の中に埋もれて、その存在をことさら主張することもなく、生き延びていく建築である。

by kurarc | 2019-06-15 23:38 | archi-works