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大林宣彦監督 映画『ふたり』

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大林宣彦監督の映画を最近続けて観ている。今日は新・尾道三部作の第1作目『ふたり』を目黒シネマで初めて観る。これは、予想以上に名作、力作であった。

この映画のストーリーも予告も、原作も知らずに観たが、それでもまったく問題はなかった。石田ひかりさんが主演第1作ということだが、その台詞の舌足らずな話し方がこの映画の主人公のキャラクターを的確に表現していて、感心した。

この映画も尾道のランドスケープは映画のストーリーと見事に調和していた。それは、日本で言えば長崎のような坂の街のランドスケープだが、そのランドスケープが映画の中に近景だけではない、中景、遠景をかたちづくり、映画に奥行きを与えている。ストーリーも想定外に展開し、最後まで飽きることがない。

偶然とは思うが、この映画が公開された年、ポーランドでは映画『ふたりのベロニカ』が公開されている。『ふたり』は死んだ姉と妹という「ふたり」であり、『ふたりのベロニカ』は、クラクフとパリの他人であるが、まったく容貌が同じふたりの女性を主人公に設定している。

両者とも一方の「死」が生き残るもう一人に大きな意味を与えることも一致しているが、その描き方はまったく異なる。死者との対話、対立でもある二つの映画は、東西世界という「ふたつの世界」がすぐそこにあった時代とどこかで通底しているようで興味深い。

目黒シネマは初めて利用したが、昭和の面影を残す東京でも数少ない映画館のようで、天井高の高い落ち着いた映画館であった。この映画を観るにふさわしい場所であった。

by kurarc | 2019-06-23 22:34 | cinema