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『モナ・リザ』のプロブレマティーク

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今年はレオナルド・ダ・ヴィンチ没後500周年ということもあり、世界では様々な催しが開催されている。しかし、日本では今のところ、目立った催しの情報は入っていない。

最近、様々な分野の本からダ・ヴィンチへの再会があったことから、暇を見てはダ・ヴィンチに関する書物を逍遙している。その中で興味深かったのは、『モナ・リザの罠』(西岡文彦著、講談社現代新書)である。『モナ・リザ』というと世界で最も有名な絵画といっても過言ではないが、未だに様々な謎につつまれている。そうした謎、あるいは誤解を発掘しながら、西岡氏は西欧美術史の中に『モナ・リザ』のプロブレマティークを取り上げ、読み解いていく。

大きくは、『モナ・リザ』のモデルは一体誰なのか、『モナ・リザ』の背後に描かれた風景画の謎、なぜダ・ヴィンチは油彩画を選択したのか、なぜダ・ヴィンチは人物画(肖像画ではなく)を描いたのか、『モナ・リザ』と印象派、『モナ・リザ』の日本における歴史 etc.様々なテーマを明解な解説と共に明らかにしていく。この著作を読み終えると、『モナ・リザ』という慣れ親しんだ絵画が次元の異なる絵画に変貌する、そんな名著であった。

もう一つ、童話『ジョコンダ夫人の肖像』(E.L.カニグズバーグ著、岩波書店)を読んだ。童話と言っても内容は大人向きの童話といってよいもので、『モナ・リザ』が、現在定説になっているジョコンダ夫人であることを前提に据え、ダ・ヴィンチと弟子サライとの生活と葛藤を織り交ぜて描いている。

この二つの著作だけを読んでも、ダ・ヴィンチは、ルネッサンス人の中で、突出した知性の持ち主であったことが理解できる。それは、ミケランジェロのような人間ともまったく異なる。単純に言ってしまえば、ダ・ヴィンチはラテン的知性とゲルマン的知性(南北ヨーロッパの知性)を統合したような人間であった。真のルネッサンス人といえる人間、それがレオナルド・ダ・ヴィンチであったということである。

今年は、ダ・ヴィンチ本を読書する本のリストにあと10冊程度含めておこうと思っている。

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by kurarc | 2019-07-11 19:40 | art