『沖縄骨語り 人類学が迫る沖縄人のルーツ』 土肥直美著

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5月末から6月初めに沖縄に久しぶりに訪れたときに、琉球新報社でタイトルの本を購入した。骨からみる形質人類学の著書で、沖縄人、はては日本人、アジア人の起源のようなものに迫る著書である。

以前、このブログで『骨が語る日本史』(鈴木尚著)の中に描かれている、鎌倉の人骨について書いたことがある。骨に刻まれた傷によってその人に死に方までわかるようなことや、人食という習慣があったことなどについてふれた。

沖縄人や日本人(やまとんちゅう)のルーツは何かといった議論は古くからなされてきたが、この本で興味深かったのは、最新の発掘調査によると、沖縄人が縄文人の形質を多く残すということはどうも俗説らしい、ということである。

「日本列島人の二重構造モデル」という考えでは、200万年前から南方系縄文人が分布し、日本の基層となり、その後、2500年前頃から北方系(渡来人)が入り、この二系統が重なり合うという二重構造と考えられた。沖縄とアイヌの周辺地域はその後、混血が少なかったことから、縄文人の彫りの深い形質を多く残している、と言う考えが有力だったが、この考えは現在、再考が求められているということ。

沖縄人の人骨を調べていくと、以外にも彫りの深い顔ばかりが発掘されるのではなく、浅いものも多く発掘されるということである。そして、その変わり目は、どうも沖縄でグスク時代といわれる12世紀以降に日本側(東から)からの交流がさかんに行われたことが影響していると考えられるらしい。ただ、グスク時代の人骨は未だに数多く発見できていないこともあり、今後、この時代の研究が重要になってくるということである。

わたしも最近、遺伝子解析を行ってみたが、わたしの祖先は一体どこからやってきたのかという興味はつきない。わたしが沖縄に住むようになり、台湾を経てタイに行くという初めての海外旅行の経験は、実はわたしの祖先が来た道を逆行しているのでは、と思えてならないのだが、この著書を読み、その思いは益々強くなった。

この著書では、沖縄に残る様々な墓の形式にもふれていて、興味深い。特に東京のような都市の中で「死」は遠い世界であるが、沖縄ではまだ、都市の中においても「死」が身近な世界として感じられる風土が残っているということである。

by kurarc | 2019-07-23 19:36 | 沖縄ーOkinawa