ブログの社会性

以前、「避難階段」というタイトルで書いたブログの検索がやけに多いと思っていると、あるブログでわたしの記事が引用されており、その波及効果によるものだということがわかった。「京アニ」火災に関するブログである。

ブログは有名人のブログは別とすると、非常に個人的なメディアで、わたしの場合は備忘録、メモに近い内容のものが大半である。そうした内容でも時には社会性をもつことになるのか、と少し驚いている。「京アニ」火災の問題は消防法だけでなく、建築基準法、条例など様々な観点から検証されるべき問題だと思うが、わたしも詳しく火災にあった建築について知り得ていないので、ここでは深入りしないでおきたい。

わたしは最近、福祉施設の設計がつづいており、特に老人の避難経路などには注意を払った設計に心がけるようにしている。消防法では建築を防火対象物として位置づけるが、それは、建築は火災が起こるものと想定しているからである。もちろん、この考えは正しく、万が一のときに備えて、建築の利用者が迷うことなく、避難できるようにしなければならない。また、近隣が火災にあったときに、防火できる仕上げをほどこさなくてはならない。

例えば、今回の「京アニ」のビルではバルコニーがなかった建築ではなかったかと思う。バルコニーは建築に必ず設置する必要のない空間であるが、わたしであれば、「京アニ」規模の建築であれば必ず設置したと思う。そこから避難器具で避難できるし、避難器具を設置する必要が法的にない場合でも、一時避難場所になる。

そうした余裕のある設計をすることが設計者には求められると思う。建築は火災にあうものである、という前提を忘れてはいけないのである。

*報道番組を見たが、「京アニ」ビルには小さなバルコニーはついていた。なぜ、こうした空間がありながら、避難できなかったのか不思議である。火災のメカニズムから検証すべき問題だと思われる。





by kurarc | 2019-07-26 19:22