KEITH JARRETT

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『武満徹 対談選』(小沼純一選)のなかに、キース・ジャレットとの対談が掲載されている。はじめてジャズを聴き始めた高校生の頃、ちょうど彼のケルンでのソロコンサートのアルバムが話題になっていた。これは当時、わたしに強い印象を残してくれた。

それから、キースの音楽をずっとトレースしていた訳ではないが、久しぶりに彼の音楽が聴きたくなり、CDを借りてくる。

武満との対談の中で、キースはわたしの心に残るような言葉を発していた。

「・・・例えば、人の声を紙の上に捉えようとしたところでそれはできない。紙の上にとどめることができるのは言葉だけです。・・・」

この言葉は、即興とはどのようなものか、ということを説明しようとしたときにでてきた言葉であるが、音楽にとどまらず、人の生命について語ったもののようにも思える。

キースは、本物の即興も紙の上に書くことはできないのだということを言いたかったのだ。この対談はケルン・コンサートから9年後になされたものだが、キースは未だにケルン・コンサートのキースだ、という見方をされていることに腹立たしさを感じている様子がうかがえる。すでに、彼はそれを超えていかなければならないのだという決意が文章から感じられる。本物の音楽家とはなんと自分自身に厳しい人間なのだろうか。

久しぶりに『ケルン・コンサート』を聴いて気がついたことだが、この録音はわたしの14歳の誕生日にケルンで録音されたものだということである。この音楽はこれからわたしの誕生日プレゼントの曲のように勝手に思わせてもらうことにしよう。

*ケルン・コンサートで特に親しまれたのは、パート1だろう。パート1の中心は今聴くと、マイナー・スケールの展開の曲である。特に日本人の心を捉えたのはこのマイナーな感じの雰囲気だったのだろう。

by kurarc | 2019-07-28 01:12 | music(音楽)