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マイルズ 『Kind of Blue』再び

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マイルズ・デイヴィスの『Kind of Blue』を繰り返し聴いている。「モード」によるジャズを主題としたアルバムとして知られている。1曲目、ドリアン・スケールのみで展開した「So What」もよいが、後半の「Blue In Green」からの音楽が深い。

ジャズ・ピアニストのフィリップ・ストレンジ氏は岡田暁生氏との共著『すごいジャズには理由がある 音楽学者とジャズ・ピアニストの対話』で「All Blues」という4曲目を分析してくれている。ストレンジ氏は、マイルズの特徴を「モティーフ的思考」と分析していて、「All Blues」が4つのモティーフの展開であるとしている。

マイルズは、初めのテーマを6度で、その後2度、その次に同音反復、さらに3度という4つのモティーフを論理的に展開しているのである。アドリブという一見自由に音を展開できる演奏方法の中で、マイルズはモティーフの原則に忠実に従いながら、クリエイティブな音楽を創造しようとしていると捉えられる。

わたしはこうした彼の音楽に結晶、あるいは鉱物質と例えられるようなジャズを感じる。それは、知的に組み立てられた音楽であり、音を抑制しながら、最小限の音によるジャズを形づくっているのである。建築家で言えば、ミースのようなイメージだろうか。

今聴くとこうした音楽が、マイルズの若かりし頃の音楽の出発点となっているということが不思議だ。むしろ、晩年に到達すべき境地だとしてもおかしくはない。老成した音楽なのだ。マイルズはむしろ老年から若年へと変化していったミュージシャンのように感じられてきた。

by kurarc | 2019-10-01 23:30 | music