福岡 大川から柳川へ 「水の構図」
大川は筑後川の河口にひらけた街であった。船舶技術や水車大工の歴史他木工技術をもつ街であったことから、家具の街へと転換した歴史をもつようである。大川だけでなく、全国から家具メーカーが集積し、大川の街の中、3地点で家具の商談などが行われるイベントである。
わたしはどのような技術をもつメーカーが出展されているのか、その一点に興味があった。残念ながら大川ではわたしの求める技術をもつメーカーには出会えなかったが、そのかわり、徳島県や中国などにはわたしの求める技術をもつメーカーが存在していることがわかったことが収穫であった。
大川は水郷の町として知られる柳川の最寄駅、西鉄柳川駅からタクシーで行くしかない(または佐賀から)のだが、せっかくなので、柳川の水郷、川下りを体験してきた。
柳川は、北原白秋のふるさとであり、また、檀一雄の育った街である。そうしたことにも興味はあったが、水郷の川下りの体験は、今まで味わったことのないような感覚がこみ上げてきた。それは、どこかわたしの遠い記憶の中にあるような体験であり、アジア人としての原体験を味わうような感覚と言ったら良いだろうか。
(この二人は、柳川の中でも沖端という漁師町に育った。そのことが、彼らの文学に強い影響を与えていることがわかった。白秋記念館には、金素雲との交流なども紹介されており、韓国やアジア諸国が近い世界に彼らは育った、ということである。)
ほとんど、地面と同じレベルの水郷(川や堀)を歩くような速度で進む小舟の時間は、東京で日常的に体験する時間とは異なり、穏やかで、優しい時間であった。小舟に揺られながら、その優しさに心が解放されるのである。時を超える体験であった。
*「水の構図」とは、白秋最後の著書のタイトルである。
by kurarc | 2019-10-10 21:56 | 九州ーKyushu