チェット・ベイカーの映画 

チェット・ベイカーの映画 _b0074416_01220576.jpg

来月チェット・ベイカーの映画『My Foolish Heart』が封切られるという。ミュージシャンの映画が最近、数多くつくられている。今回の場合、トランペットを実際に演じる俳優が吹いているとは思えない。チェットの音はプロでも出すことはできない。だから、あまりこの映画を観たいとは思えないのだが、多分観に行くと思う。

ピアノであれば、なんとか真似はできるが、トランペットはそうはいかない。この楽器を知っている人であればわかるが、人それぞれ音はまったく異なる。同じマウスピースをしてもである。それは声が人それぞれ異なるのと同じようなものである。

チェットのYou Tubeを最近よく見る。彼の指使い、彼のフレーズの勉強のためである。幸い、彼の映像は豊富にあるようなので、トランペットを学ぶ者にとっては貴重である。彼の最晩年の映像の中に、”Blue In Green"(チェットが亡くなる43日前のライブ)を演奏しているものがあるが、その映像が最近のお気に入りである。音を一つ一つ確かめるように演奏している。その音の繋がりが限りなくモダンで知的なのだ。

酒、ドラッグに溺れた人間の奏でる音とは思えないくらい暖かい音だが、溺れたものだからこそ出せる音なのかもしれない。世間一般の人から見れば、彼はクズのような男であったが、彼のトランペットは誰にも真似はできない。

by kurarc | 2019-10-18 01:21 | cinema(映画)