映画『MY FOOLISH HEART』

映画『MY FOOLISH HEART』_b0074416_17322502.jpg

映画を観た場合、普通は勧めたい映画が多いが、この映画はお勧めしないだろう。但し、チェット・ベイカーというジャズ・トランペット奏者に特別興味がある方であれば別であるが。

映画『MY FOOLISH HEART』はチェット・ベイカーが1988年5月13日、アムステルダムのホテル2階から転落死するが、その死の直前から彼の死までを描いた映画である。フィクションであるが、監督であるロルフ・ヴァン・アイクは、チェットの知人にインタビューし、およそ3年もかけて脚本を準備したというから、すべてがフィクションということもなさそうである。

チェットの死因(自殺、他殺、事故など)はいまだに謎に包まれている。この映画ではどのような結論として描かれているのか、それはこの映画を観て確かめていただきたい。この映画ではチェットの天使と悪魔性、その両頭をもつ人間としてかなりリアルに描かれていた。彼の音楽は、その悪魔性を浄化するために生み出された音楽なのではないかと思われた。

この映画での収穫は、オランダのトランペット奏者ルード・ブレールスを知ったことである。映画の中でルードがチェットの曲を演奏しているが、彼のトランペットの音色はチェットの音色と重なり、チェット自身が演奏しているかのような錯覚を及ぼすほどの名演であった。

美しいものの背後には棘があり闇、陰影があるのかもしれない。チェットの音楽にはその闇と陰影があるから余計に美しく思えるのかもしれない。

by kurarc | 2019-11-09 17:30 | cinema(映画)