クラシックギタリスト 福田進一再び
最近では映画『マチネの終わりに』のモデルとなったギタリストとして再び脚光を浴びているようだ。彼のCDの中で印象深いのは『21世紀のタンゴ』(1987年録音)だろうか。2009年にこのブログでこのCDについて書いている。ちょうど10年前である。
このタイトルが示す通り、福田さんは21世紀のレパートリーとなるような曲を想定してこのCDを製作したのだと思う。それまでのギタリストはセゴビアといった巨匠のレパートリーをトレースしているようなギタリストが多かったと思う。その中でも、日本で初めてと思われるピアソラの「5つのタンゴ」の演奏し、録音したことは一つの事件といってもよいくらいの衝撃であった。コンサートでも実際この演奏を楽しんだが、ちょうど父親が亡くなった時期と重なっていたこともあり、この「5つのタンゴ」は忘れられない。
21世紀ももう20年が過ぎようとしているが、福田さんが目指した21世紀へのレパートリーは若手のギタリストにも着実に広がっている。そして、現在も活躍されていることは本当に素晴らしいことだと思う。優れた日本のギタリストは芳志戸幹雄さんや渡辺範彦さんら早逝されたギタリストが多いが、福田さんにはこれからも末永く活躍してもらいたいと思う。
*1980年代はわたしにとって重要である。年齢でいうと20代になるが、この年代ですべての趣向が決定されたように思う。映画、音楽、建築の趣向はすべてこの1980年代に決定されたといってもよい。
by kurarc | 2019-12-15 20:01 | music