山岳写真家 白旗史朗さんを悼む

白旗史朗さんが先月末にお亡くなりになっていることを今日知った。

白旗さんには一度だけお会いしたことがある。わたしが高校3年の夏休み、山岳部合宿で北岳第4尾根(約250mの岸壁)を登っている時のことである。わたしたちのパーティは3名であった。朝、6時頃であっただろうか、私たちは登り始めたが、なにせこれだけの岸壁を登ることは初めてのこと。スローペースでゆっくりと登っていった。

何人ものパーティに追い抜かされていったが、頂上まであと80m付近に差し掛かったあたりだったと思う。撮影をしながらスイスイと登ってくる長髪のカメラマンがいた。それが白旗史朗さんであった。わたしたちは登るのがやっとであるのに、白旗さんは、岩から今にも落ちそうな体勢をとりながら撮影しては登りの繰り返し。あっという間に追い越されていった。

南アルプスにはそれから一度も行っていない。わたしたちの登った第4尾根は、2年後くらいに大きな崩落があったのを知ったこと、大学の方も忙しくなってきたこともあったが、その後、本格的な岩登りはあきらめて、沢登り程度を楽しむ山との付き合いに変更した。

山岳写真家はいわば二足の草鞋である。登山家であり、写真家、どちらも両立させて初めて成立する職業である。白旗さんはそのどちらも好きでたまらなかったに違いない。この場を借りて、ご冥福をお祈りしたい。

by kurarc | 2019-12-17 21:24 | art(藝術)