フェリーニ生誕100年
このブログでもいくつかフェリーニの映画の魅力を伝えてきた。以前も書いたが、わたしのフェリーニ体験は沖縄在住時、1985年だったと思う。テレビで『道』を観たのが初めてだったように思う。その後、溝口健二監督の映画に出会って、昨年末、『西鶴一代女』について書いたが、フェリーニのジュリエッタ・マシーナ(フェリーニの奥様)と溝口の田中絹代が重なって見えるようになった。
ジュリエッタ・マシーナと田中絹代は共に1950年代に汚れ役に取り組んで、その演技力により多くの賞を獲得している。いつも言っているように、わたしはこの『道』(付け加えるなら、『カビリアの夜』も)と『西鶴一代女』の二つはわたしの映画評価の中でベスト10に入る映画である。
ネオ・リアリズモを継承する作家として期待されていたフェリーニは、この『道』でその路線を外れたことから、その手の批評家に厳しく批判されたらしい。また、わたしは溝口とフェリーニが何らかの影響関係にあるのではと思っているが、『道』で道化師を演じたジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)の扮装は、アメリカのコミック「ハッピー・フリーガン」からインスピレーションを得たものだという。(STUDIO VOICE 9 『特集 フェリーニ主義』より)
フェリーニの映画をすべて観ているわけではないので、今年は未見の作品を中心に楽しみたいと思っている。
*『カビリアの夜』の「カビリア」は、ジョバンニ・パストローネのサイレント史劇『カビリア』に由来するという。そのヒロインの名前は、ガブリエーレ・ダンヌンツィオが命名したもの。
by kurarc | 2020-01-10 22:08 | cinema(映画)