写真家ウイリアム・クラクストンのドキュメンタリー映画 『JAZZ SEEN』

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ジャズ・ミュージシャンの写真で有名なウイリアム・クラクストンの『JAZZ  SEEN』(2002年)というドキュメンタリー映画をみる。

このドキュメンタリーの音楽を担当したのは、ジャズ・トランペッターのティル・ブレナーだが、こちらのサウンドトラックは随分と前に購入し、音楽を楽しんでいたが、肝心のドキュメンタリー映画の方は未見であった。

映像と音楽がこれほどかみ合っているフィルムも珍しい。クラクストン自体、ミュージシャンのようなカメラマンだったからそれは当然かもしれないが、ティル・ブレナーの力も大きいのだろう。ティル・ブレナーが作曲した『Clax's  Theme』はミュートを使ったトランペット音だが、その音は、マイルズともチェット・ベイカーの音とも異なり21世紀らしい音に仕上がっている。サウンドトラックは、このテーマ曲とその変奏の合間に、ルイ・アームストロングやダイアナ・クラール、エラ・フィッツジェラルド、デューク・エリントンらの音楽で彩られている。サウンドトラックの副題が「カメラが聴いたジャズ」とあるように、クラクストンの写真から発せられるような音楽に仕上がっている。

映画の中でクラクストンは興味深いことを話していた。モデルとなったミュージシャン(ダイアナ・クラール)にあるポーズをお願いしていたが、そのようにポーズをとることはまったく期待していなかったのだという。そのポーズをとることが恥ずかしい、といったその表情を撮影することが狙いだったというのである。本物の写真家とはやはり戦略家なのである。

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by kurarc | 2020-01-23 19:27 | cinema(映画)