ライトと黄色い煉瓦

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『黄色い煉瓦ーフランク・ロイド・ライトを騙した男』というドラマは興味深かった。かなりフィクションも含まれているそうだが、煉瓦職人、久田吉之助を演じた俳優の安田顕さんの熱演は見事であった。

ライトが旧帝国ホテルの外装煉瓦に黄色い煉瓦(上写真、INAXのHPより借用)を要求したという。当時、アメリカには存在したということで、実物もアメリカから送付されたようだ。それにしても、なぜライトは日本で普及していた赤褐色の煉瓦ではなく、黄色い煉瓦でつくることを望んだのだろう?

わたしの勝手な推測であるが、一つは、大谷石との関係(組み合わせ)で、赤褐色のものより黄色い煉瓦の方がデザインとして適していると判断したのではないか?という推測である。ライトは外装に煉瓦と大谷石を使用したが、赤褐色の煉瓦と大谷石の組み合わせが彼にはピンとこなかったのではないか。

また、東京駅など、当時、多くの煉瓦は赤褐色のものが使用されていたため、そうした煉瓦造の建造物に埋もれたくなかった、ということも考えられる。もちろん、単純に黄色い煉瓦が好きだったということもあろう。少なくとも、物理的に強度が高いから、といったような理由ではなさそうだ。黄色い煉瓦は通常の煉瓦より強度は弱かったという事実が知られているからである。

ドラマはかなり誇張されてはいたが、きっと黄色い煉瓦を初めて日本でつくった久田吉之助は、相当な職人気質の人柄であったに違いない。ものづくりには、ある種の狂気が必要だが、現在ではそした熱意をあまり表には出すことを好まれない。しかし、それはただ表に出てこないだけであって、真摯にものづくりに取り組もうとするものであれば、かならずポジティブな意味での狂気がなくてはものはつくることはできない。ものづくりをしたことがあるものであればそれは誰でも知っていることだと思う。ものをつくるということは、対立するものを調整し、まとめていくことが仕事のような行為だから、必然的に難題にぶつかる。それを乗り越えるだけの狂気が必要だということである。

by kurarc | 2020-03-14 00:25 | brick(煉瓦)