シェークスピアのバラ

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敬愛する思想家、文芸批評家、林達夫さんの著作集を眺めていると、「シェークスピアのバラ」という小論があることに気がついた。林さんについては、以前、このブログで鵠沼の自邸にしつらえられた庭園について書いた。研究対象である小説や哲学書、思想書を理解するために植物を育てているということについてである。

「シェークスピアのバラ」とういう小論、随筆は、シェークスピアが生きた時代、バラはその見た目の美しさより、芳香が重要であったことを述べている。シェークスピアと同時代のベーコンも、その『随筆集』で、「・・・大気のなかでかおるのは、どの花のどの植物か、心得ておくことが最も肝心だ・・・」と述べ、芳香植物をリストアップしているという。シェークスピアの『ソネット』や『冬物語』には、ダマスク・ローズが登場し、十字軍遠征によりダマスクスから持ち込まれたというこのバラは、当時、もっとも人気のあるバラであったという。

こんなことをなぜ唐突に書いたかというと、現在、渋谷のル・シネマで『シェイクスピアの庭』(上写真)という映画が公開されていることもあり、急に気になりはじめたのである。この映画は観に行くと思うが、現在、主なシェークスピアの作品を読破したいという思いもあり、シェークスピアは特に注視している劇作家である。謎の多い劇作家であるが、彼の生涯、彼の残した言葉について味わいたいと思っている。

*映画は、『シェイクスピアの庭』と表記されている。林さんは”シェークスピア”と表記しているので、それに従った。


by kurarc | 2020-03-15 17:38 | aromascape(香り)