『金沢を歩く』 山出保著

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昨年、久しぶりに金沢を訪れ、その活気に驚いた。街が元気なのだ。街の元気さの指標の一つは、駅周辺をみるとおよそわかる。駅周辺が整備され、活気付いている街は、市中も元気な場合が多いような気がする。

『金沢を歩く』(山出保著)は元金沢市長であった山出氏の金沢ガイドといった内容の著書である。この著書を読んでまずはじめに思ったのは、金沢に行きたくなり、住みたくなるということであった。戦災を逃れ成長した金沢には、多くの遺産が残り、それを守り育てている文化がある。山出氏は、そのことを誇りに思っているし、そうすべく努力してきた方である。

泉鏡花、鈴木大拙、西田幾多郎、建築では谷口吉郎を育てた街というだけで、この街を知りたくなるし、京都のような公家の街でなく、武家の街として成長してきたことも特出すべきである。山出氏は、こうした経緯から、金沢を「小京都」と形容するのは適切ではないと指摘している。

もう一つ、わたしが感じたのは、この街は東京のありうべき姿であったのではないか、ということである。東京は関東大震災や第二次大戦などにより壊滅的な打撃をうけた。文化も断絶してしまったが、金沢はその文化をすべてではないが、守ることができた。東京生まれの人間にとって、この街は東京ではかなわなかった未来をみせてくれている街なのではないか、そう感じた。

また、個人的に興味を持ったのは、キリシタン大名、高山右近の存在である。右近は茶人として、文人として、あるいは築城の名手として金沢で活躍したこと、金沢は日本のなかでも多くのキリシタン信者がいたこと、治部煮といった料理も、右近が持ち込んだと言われていることなど、金沢にどれだけの影響を及ぼしたのか気になるところである。



by kurarc | 2020-04-13 16:14 | 北陸-Hokuriku