『金沢の家並 近代文学にみる原風景』(島村昇著)

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相変わらず金沢の建築、都市についての探求を続けている。島村昇さんの著書『京の町家』、『金沢の町家』は持っていたが、『金沢の家並 近代文学にみる原風景』は持っていず、古本を買い求めた。こちらも、前の二著作同様、名著である。

金沢にゆかりのある泉鏡花、室生犀星、徳田秋声の作品の中から、建築や都市に関連する記述を抜き出し、その文章を比較、参照しながら金沢の建築や都市を解説していくというスタイルの著書であり、建築、都市を学びながら文学を学び、反対に文学を学びながら建築、都市を考えるというそれぞれの連関を明らかにしている。

なにより、その文章が建築史家らしく具体的で丁寧であり、金沢というひとつの街をテキストにし、近世から近代にかけた日本の都市+建築史としても読解できるようになっている。前田愛さんの著作『都市空間のなかの文学』のように記号論的な分析ではなく、あくまで歴史書として記述されている点がよい。

やはり、金沢という都市は、読解されるべきテクストであり、京都ほど都市が巨大ではないだけに、身体的につかみやすく、近世以降の日本の都市、特に城下町の推移を考えるときに、その最も学びやすい場を提供してくれているといってよさそうである。

新型コロナウイルスが収束するのを待ち、今年はまずは金沢に出かけて、その建築、都市の構造を学びたいと思っている。


by kurarc | 2020-04-26 22:56 | 金沢-Kanazawa