『クローディアの秘密』 E.L.カニグズバーグ作

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昨年、 E.L.カニグズバーグ作の『ジョコンダ夫人の肖像』を読み、すっかり彼女の童話のファンになった。この童話は、レオナルド・ダ・ヴィンチがモナリザを描いた理由を童話にしたものだが、『クローディアの秘密』は、ミケランジェロの天使像がキーとなった童話である。E.L.カニグズバーグの童話はこれで二冊目だが、彼女は芸術に造詣が深かったのかもしれない。

この童話は、ある手紙からはじまる。導入部としては不思議な始まり方なのだが、章を追うごとに、この手紙が冒頭に挿入された意味がわかるようになってくる。また、興味深いのは、この童話は様々な人称を使い分けている点である。主人公は姉と弟であり、彼らの家出を描いている。よって、彼らの人称で語られるが、その中に、別の人称、ここでは後半に登場するミケランジェロの天使像を競売にだしたある夫人の人称が挿入されている。最終的に、この童話はこの夫人が夫人の弁護士に語り聞かせたかのような童話として描かれていることに気づくのである。

童話としてはかなり高度な語られ方であり、『ジョコンダ夫人の肖像』同様、わたしには童話のかたちをした立派な小説のようにも思われた。加えて、この童話が素晴らしいのは、E.L.カニグズバーグのイラストである。彼女のほとんどの童話のイラストは彼女自身により描かれているのだという。そのイラストは素人とは思えない素晴らしい出来である。

この童話は、「秘密」の大切さについてふれている。「秘密」とは普通ネガティブなものとして捉えられると思うが、ここではその逆、「秘密」をもつことの大切さについて語られている。(もちろん、すべての秘密についてではない。人を成長させてくれる「秘密」のことである)それはなぜか?知りたいと思うのなら、この童話を読んでみることをお奨めしたい。

by kurarc | 2020-07-20 20:06 | books(書物・本)