「構築された外気」をもつ住宅へ

以前このブログで、建築家、室伏次郎さんの講演会について書いた。室伏さんは、建築において外気の重要性を強調されていた。室伏さんはそれを「構築された外気」と呼び、人間にとって屋根、壁で囲まれた空間は必要だが、外気ほど心地よい空間はないのではないか、という考えであり、外部空間をなんとなくデザインするのではなく、我々が外気を有効に体験できるようデザインすること、構築することが大切であるという考えとわたしは理解した。

コロナウイルスが蔓延し、住宅内で過ごす時間が急激に増える中で、住宅(あるいは集合住宅など)における外気の体験は重要になっている。普通、賃貸の集合住宅では、バルコニーはせいぜい畳一枚程度の空間であり、そこは単なる物干しスペースとして設置されているに過ぎない。しかし、その外部空間が6畳間程度あり、テーブルや椅子が置け、さらに屋根付きであれば、屋外の住空間として利用できるようになる。

こうしたスペースを持つような住宅(集合住宅)は数少ないと思われるが、現在の状況を考えると、今後、こうした空間の重要性は増していくと思われる。わたしが修士論文で取り上げたドイツの建築家、ブルーノ・タウトの言葉に、「屋外住空間(ドイツ語でアウセンヴォーンラウム)」という言葉があり、わたしは彼の言葉を現代的に解釈して、上のような外気を有効に体験できる空間を構築することと再定義したい。それは、もちろん、庭のような外部空間も含まれる。東京のような都市では、大きな庭を持つ住宅を望むことはなかなかできないが、バルコニーやベランダ、あるいは屋上庭園といった空間を魅力ある空間として設計する可能性は残されているのではないか。

by kurarc | 2020-07-23 12:18 | architects(建築家たち)