金沢の音文化

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9日、10日に訪れた金沢の旅で、いくつかの金沢らしい音との出会いがあった。

まずは、金沢蓄音器館での蓄音器の音の経験である。蓄音器の音を聴くことは初めてであったが、レコードの音とも微妙にことなる温かみのある音に魅了された。ゼンマイを巻いて動力としているという構造も新鮮だったが、エジソンがタテの振動音の録音にこだわるあまりに、コストがかかり過ぎ、後のベルリナーによる平円盤蓄音器に敗れてしまうあたりの話は興味深かった。

また、野村家(武家屋敷)には、聲桶(こうけい 上写真)という鶯のカゴを桐の箱の中にしまい込み、鶯の声を共鳴させ、楽しむ装置が展示されていた。奥ゆかしい音の楽しみと言えるものだろう。

村松友視著『金沢の不思議』にも音にまつわるいくつかの章が設けられている。そのなかでも「一調一管」には興味をそそられる。こちらはYou tubeでも聴くことができるが、能の表現形式の一つであり、調は鼓を、管は笛(能管)をあらわす。一対一で競われるいわば勝負をし、共闘するような演奏形式であり、ジャズの演奏スタイルのような感覚を思わせる。

金沢駅前右手には県立音楽堂があり、音楽についてさかんな風土であろうことも想像される。「一調一管」はなかなか体験できそうにないが、金沢には様々な文化の堆積があり、音に関しても、深い奥行きがあることがわかる。

by kurarc | 2020-08-13 15:50 | 金沢-Kanazawa