ポルトガル建築史の立ち遅れ

先日、日本建築学会で発表されているポルトガル建築史に関する論文を検索してみた。現在、20ほどが発表されているに過ぎなかった。日本において、ポルトガルの建築史に興味をもつものは、いまだにごく少数に限られているようだ。

ポルトガルだけではないが、たとえば、バルト三国の建築史、あるいはブルガリアの建築史、ルーマニアの建築史、中東各国の建築史、アフリカ各国の建築史など、世界には様々な建築があり、歴史があるが、日本ではこのような国々の建築史を日本語で読むことはほぼ不可能である。

まず、興味をもつものが少ないこともあるが、興味をもち、留学し、日本に帰ってきて、それらを教える大学がないし、大学にそもそも就職できないからだと思われる。日本ではほぼ、西洋建築史(ドイツ、イタリア、フランスなどが中心)を学んだものでない限り、なかなか大学で研究職にありつけないと思われる。

それにしても、ポルトガルは建築家のシーザ・ヴィエイラの影響もあり、日本で興味を持つものが増えたと思うが、それでも研究しようと思うものは増えていないようだ。わたしはすでに『ポルトガルを知るための55章』でその建築史のフレームのみを書き、あとは建築史を専攻する研究者に期待していたが、今後も期待できそうにない状況である。

ポルトガルのみならず、同じポルトガル語圏であるブラジルとなるとさらに研究者は皆無に等しいと思われる。アレイジャジーニョといったブラジル・バロックを代表する建築家の研究者が現れても不思議ではないのだが、ブラジルまで行って研究しようと思う人間はほとんどいないのであろう。

ポルトガル建築史の研究を長い間封印してきたが、来年あたり、学会で発表できるポルトガル建築に関する小論を用意しようかと現在考えている。

by kurarc | 2020-09-02 18:09 | Portugal(ポルトガル)