ジェリコのバラ

読むことを一時中断していた小説『ダイヤモンド広場』(マルセー・ルドゥレダ作)を再び、読み始めた。

この小説、ガルシア・マルケスが絶賛した小説として知られているが、その意味が少しずつわかってきた。感覚的に言うと、文章がキラキラと輝いているのである。描写が具体的で、内容とイメージとの思いがけない結びつきが感じられる小説である。

たとえば、タイトルにあげた「ジェリコ(エリコ)のバラ」(テマリカタヒバ)と言われるメキシコ産の植物が登場する。日本でも復活草といった名で取り上げられ流行したことがあるらしい。乾季になると外見は枯れたようになり、どうみても死んでいる植物としかみえないが、雨季になり、水を吸収すると死んでいたと思われる枯葉が緑色に輝きはじめるのだという。

小説『ダイヤモンド広場』が驚くのは、この植物の再生のイメージを女性の出産と結びつけていることだろう。子供が生まれそうになったら、このジェリコのバラを水に浸す。そうすると、ジェリコのバラが開くにつれ、女性の身体も開いていく・・・という描写がある。こうした神話的な描写は数多く散見される。そうしたところがマルケスを惹きつけたのかもしれない。

ジェリコのバラは、花田清輝の『復興期の精神』のなかに登場するクラベリナのようだ。花田がこの植物を知っていたら、きっとこちらを登場させたのではないか。名前があまりにも魅力的だからである。

by kurarc | 2020-09-08 14:16 | Spain(スペイン)