映画『鵞鳥湖の夜』

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昨日、映画『鵞鳥湖の夜』を新宿武蔵野館で観た。

中国の闇社会の抗争を描いた映画である。ディアオ・イーナン監督の映画は、『薄氷の殺人』以来、2本目だが、そのどちらも映画に描かれるディテールの緻密さに驚かされた。特に、今回の映画『鵞鳥湖の夜』では、雨、水、光、影、鏡、音、暗闇etc.など徹底的に計算されつくした構図で映画の中に登場する。ワンカット、ワンカットがそれぞれ絵になっている。

撮影場所も、コロナ以前の武漢で撮影されたようで、その地方都市の混沌とした迷宮を舞台に、逃走する一人の男と娼婦を中心とした物語が進行する。逃走する男は、フー・ゴーが演じ、はじめて観た俳優であるが、名優であることを確信した。娼婦は、グイ・ルンメイが演じている。最近は汚れ役が多いが、映画『藍色夏恋』や『言えない秘密』などの青春もので、すっかりファンになった一人である。逃走する男の妻には、レジーナ・ワンが演じている。彼女は、映画『軍中楽園』でファンになった中国の女優である。同世代の二人の台湾、中国の女優の共演も見逃せない映画となっていた。

この映画、かなりの映画好きでないと、後味はあまりよいものとは言えないので(血なまぐさい映画である)見ない方がよいかもしれない。しかし、黒沢清監督も言うように、中国映画は絶頂期を迎えようとしていることは間違いないと思う。この映画はその一つということになる。こうした映画を観るにつけ、映画の魅力と現実の中国の政治状況があまりにもかけ離れているのには驚かされるが、こうした映画から将来、なんらかの変化に結びつくのかもしれない。

*新宿武蔵野館は、歴史のある名画座。場所も新宿東口駅前にあり、行きやすい。名画座ではあるが、映画館内はわりとゆったりしていて、映画の紹介のプレゼンテーションにも力が入っている。名画座としてうまくバージョンアップしていった映画館の一つである。この映画館のエスプレッソはお気に入りの一つ。

by kurarc | 2020-09-29 19:10 | cinema(映画)