市之瀬敦ほか著『必携 ポルトガル語文法 総まとめ』読了

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9月初旬から読み始めた市之瀬敦ほか著『必携 ポルトガル語文法 総まとめ』を第32章発音と表記以外、読了した。

本書はコンパクトな文法書ながら、非常に内容が豊富で、ポルトガル語を学び、中級者程度の実力のものに向いていると思った。初学者には解説内容が簡潔であるため難しいと思われるが、大学であれば、ポルトガル学科の学生が2年間学んだ後の復習用に最適のレベルではないだろうか。

特に優れている点を下に列挙すると、

1)同じ意味の例文で、ポルトガルのポルトガル語とブラジルのポルトガル語が併記してある点

2)地方、あるいは都市により用法の違いが解説してある点

3)例文が明快で簡潔である点

である。わたしにもほぼ辞書ないしで読みこなせる単語のレベルで、読んでいてストレスを感じられなかった。久しぶりにポルトガル文法書を読んだが、人称代名詞、動詞の時制、話法(自由間接話法という話法があることを本書で知った)などが複雑で、初学者にはわかりずらいのではないか。

本書は、ポルトガル本国とブラジルのポルトガル語の内容を網羅しているが、本来ならば、さらに、ポルトガルのかつての植民地で使用されたクレオール語もポルトガル語世界のなかに包含される訳だから、アフリカ、あるいは一部マカオのようなアジアでのポルトガル語も含めないといけないのかもしれない。

ポルトガル語の世界はその流通した広大さに驚かされ、それがまた興味深く、反対に難解さを招いている。文法書の中で以上の世界を扱うことは、内容が煩雑になり避けられるのかもしれない。クレオール語がポルトガル本国でどの程度まとめられているのか、そして、日本人でそこまでの領域を制覇している研究者がいるのかどうか、わたしにはわからないが、その分野に特化した研究者として誰かが手を伸ばさざるを得ない研究領域になると思われる。

by kurarc | 2020-10-07 06:12 | books(書物・本・メディア)