渡辺力 エアリースツール(1966)

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紙や段ボールで家具をつくることをデザイナーたちは普通に行うようになったが、そのはるか50年以上前に、渡辺力は、子供用の段ボールスツール、エアリースツール(リキスツール 1966)を発表している。

600kgの荷重に耐えられるというこのスツールの優れたところは、隠れた内部の段ボールの構造に対しそれを覆う色彩豊かな表皮をつくり、段ボールという貧しい素材を感じさせないデザインとしたことである。

隠れた内部の段ボールは二重の板状ダンボールが立ち上がり、その隙間に表皮を挟み込んでいく構造である。ダンボールが何重にも重なり、予想以上に強度が増しているのだろう。

渡辺力はわたしの母校の最初期に教鞭をとられた方であるというが、わたしは残念ながらお会いしたことはない。渡辺力の仕事の数々を今改めて眺めると、その品のよさ、爽快な軽みのようなものが感じられる。デザイナーの仕事は死んでから、その仕事を改めて公に並べられたとき、本当の顔が現れるのだと思う。

*写真はMETROCS HPより引用

by kurarc | 2020-10-11 12:34 | design(デザイン)