緊急声明

日本学術会議会員任命拒否問題に対する各学会の緊急声明の中で、特にイタリア学会が提出した緊急声明の内容が注目されている。

イタリア学会らしく、その内容は古代まで遡って説明されている。紀元前5世紀のアイスキュロスの作品『縛られたプロメテーウス』を引用し、権力の二つのタイプとして、クラトスとビアーという登場人物を紹介している。ギリシア語で、クラトスとは「権力」を、ビアーとは「暴力」を表すそうだが、この登場人物は劇中で無言であり、言葉を一言も発しないのだという。

さらに、カフカの『審判』やソルジェニーツィンの『収容所群島』を引用し、「説明しない」ことの権力行使についての事例をあげ、民主主義において「説明する」ことが、民主主義を支える命であることを訴えている。

この緊急声明を読み、わたしの所属する日本建築学会はいかなる緊急声明を提出しているのか調べてみたが、提出してはいるものの、ほんの数行だけ(緊急声明とは言えない)であり、その内容はイタリア学会とは比べようもない弱腰なものであった。

緊急声明を提出しない学会も数多いと聞く。出せばよいという訳ではないが、提出された内容により、その学会の政治に対する立場が表明されていると考えられる。この問題は、学術会議だけの問題でなく、所属する学会の良識が試されているのである。

by kurarc | 2020-11-16 07:58