ライル・メイズ追悼

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パット・メセニー・グループでのキーボード奏者の活躍で知られたライル・メイズが今年の2月に亡くなっていたことを昨日知った。昨日から、彼のリーダーアルバムを聴き返している。手元に4枚あるが、どれも優れたアルバムである。

特に『LYLE MAYS SOLO』は、すべてがインプロヴィゼーションのような曲であり、彼の内なる世界が垣間見られるような音楽に仕上がっていて圧巻の出来である。

また、久しぶりに最初に発売されたリーダーアルバム『LYLE MAYS』(1986年発売)を聴いた。このアルバムもどの曲も捨てがたいが、最後の「CLOSE TO HOME」が特に印象に残る。この曲はライルにとってかなり初期に作曲されたもののようで、YouTubeなどでパット・メセニー・グループでの演奏を楽しむことができる。

この曲で気になるのはその曲名である。「CLOSE TO HOME」という英語を熟語として理解するのか、それともその語の通り素直に理解するのか?「身にしみて」のように理解するのか、あるいは、「故郷に近づいて」のように理解するのか、あるいはまったく別の意味なのか、あるいは、想像にお任せします、ということなのか?

そもそも曲名の意味に深入りすべきではないが、曲名のなかに含まれる「HOME」という言葉は、アメリカでは特に重要な意味をもつと思われる。ボブ・ディランは、「HOME」を「故郷」ではなく、「時代」と解釈したように、「HOME」はたどりつけない場所であるかもしれないし、まったく別の場所かもしれない。しかし、そこに向かうことが人生の原動力になると捉えた言葉なのである。

ライルのこのタイトルにも、そうしたボブ・ディランの解釈を踏まえて名付けられたのかもしれない。彼の曲を聴くと、その「HOME」が目の前に見えてきていて、もうすぐ帰るよ、と胸の張り裂けるような思いが感じられる。彼のような繊細な音楽家をなくしたことは本当に残念で仕方がない。

合掌





by kurarc | 2020-11-23 23:46 | music(音楽)