映画『恋恋風塵』再び

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昨晩、再び『恋恋風塵』を観た。1年に1度は観たくなる映画である。台湾版『シェルブールの雨傘』のような映画と以前書いたことがあるが、この映画を理解するには、台湾の風土や言語について熟知していることが求められる。しかし、そうした知識なしでも、もちろん、この映画の素晴らしさは理解できる。

わたしは、デジタルリマスター版(『冬冬の夏休み』とセットのもの)をもっているが、そのリマスター版に付属しているパンフレットには著名な評論家の解説を優先されたせいか、田村志津枝(台湾映画研究家)さんの解説が省略されてしまっている。こちらは、映画館で公開された時に販売されたパンフレットに掲載(「恋恋風塵」に見る台湾人の生活様々、という解説)されていて、この映画の理解に欠かせない内容が網羅されている。

映画ではどのような場面で北京語、客家語、びんなん語が使われるか、兵役の生活、中学の入試制度、鉱夫たちの生活、家のまわりに落ちている石の意味、タバコに対する振る舞いetc.などが重要な意味をもつことを田村さんは教えてくれる。この映画に特に興味のある方は、このパンフレットを手にいれることをお勧めしたい。

映画は1960年代の時代設定としているが、撮影は1980年代中期に行われている。わたしがちょうど台湾を初めて訪れた頃の風景が映画のなかで現れる。そうした個人的な思い入れもあるが、1980年代の名画を10本あげろ、と言われたら、わたしはこの映画を必ず入れるだろう。いつも言うが、主役アワンの幼馴染の女性役、アフン役のシー・シューフェンが特に気に入っている。主役の二人はまったくの素人であり、特に彼女はこの次の映画『悲情城市』で名演技を残し、永遠に映画から去ってしまう。多分、映画のなかの彼女は、わたしの記憶から消え去ることのない女性像の一人だと思う。

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by kurarc | 2020-12-07 19:46 | cinema(映画)