アントニオ・カルロス・ジョビン 『PASSARIM』

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事務所を移転して、少しだけ落ち着いたこともあるが、ボーズのCDプレーヤで初めてかけるCDを何にしようかと迷ったが、ジョビンの『PASSARIM』を選んだ。

先日、ブログで書いた故ライル・メイズもお気に入りのCDの一つに挙げていたものである。ジョビンは曲はよいのは当然だが、実は彼の作詞も優れている。CDの中では特に「ガブリエラ」と「パッサリン」が興味をひく。「ガブリエラ」の方は、映画『丁字と肉桂の香りの女ガブリエラ』のサントラであるという。その映画の物語を生き写したような内容の歌詞は、映画のストーリーを凝縮したような物語となっているのだろう。その歌詞に変化の富んだメロディーが展開し、ジョビンでしか表現できない世界をかたちづくっている。

CDのタイトルともなっている「パッサリン」の方は、詩的な歌詞である。羽を休めようとして地上に降りようとする小鳥に銃弾が飛んできて、地上で羽を休めることができない、という不安を題材にしていることと、自然の荒廃を歌詞にしている。ジョビンの歌詞は明るいものは少ない。詩的であり哲学的と言えるような歌詞である。こちらも『時と風』というデレビ番組のサウンドトラックとしてつくられたもののようだ。(以上、中原仁氏の解説による。)

久しぶりにこのCDを聴いて思ったのは、ジェンダーを超えた音楽であるということ。ジョビンをリーダーとして、その妻、息子、娘を始め、友人たちによってつくられたこのCDは、男性と女性のボーカルのバランスがよく、両性の声の質のバランスもよい。

ちなみに、上写真のCDジャケットの表紙はジョビンの娘さんの絵である。ジョビンは、才能のある家族や友人たちに恵まれていたと言えるが、ジョビンだから自然と出来上がったつながりなのだろう。



by kurarc | 2020-12-09 23:08 | music(音楽)