水車大工 能勢秀拓

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竹中大工道具館のHPで、一昨年、水車大工の野瀬秀拓(のせ ひでひろ)氏の企画展があったことを知った。

竹中大工道具館は過去に2度訪れているが、企画展の充実ぶりには行くたびに驚かされる。竹中工務店の文化的事業の力の入れようには関心するが、残念なのは、竹中大工道具館が神戸にあり、頻繁に通えないことである。

野瀬秀拓氏を検索すると、水車をつくる木材など興味深い話を数多く知ることができる。たとえば、水車には杉材を使うという。水に強い木というとまずヒノキを思い浮かべるが、ヒノキは建築の柱のように、水に濡れても一旦は乾くような箇所には使えるが、水車のように絶えず水に濡れているような箇所には油分の多い杉の方が向いているという。

また、水車は各部材によって力の働き方が異なるため、建築では使用することを避けるような曲木や癖のある木をその力の方向を見定めて上手に使い分けるのだという。(建築においても、鎌倉時代までは癖のある木の使い方に対し特に気を配っていたという。それは、扱う部材のメンバーが巨大であったから、癖を相殺させるような組み方を心得てないと建築を建てることが不可能だったからである。また、棟梁自身、山へ行き、木の生え方、木の育った方位などを見定めたからであると言われている。)

以前、鎌倉で行なったリノベーションで、海のなかにつくられたイワシ養殖のための生簀材の杉を使用したことがあったが、その時にもその生簀を製作している材木屋さんから杉がよいと聞かされた。野瀬秀拓氏の話からその意味がやっと理解できた。

わたしの地元三鷹市にも立派な水車が残っている。野瀬秀拓氏のような水車大工に一度見学していただき、メンテナンスをお願いすべきかもしれない。

*上下写真:AXIS web magazineより借用

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by kurarc | 2021-01-23 12:38 | design(デザイン)