『100分 de 名著 カール・マルクス 資本論』読了

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斎藤幸平氏(1987年生まれ)という若い経済思想家が、マルクス、エンゲルスの新全集を刊行するプロジェクト「MEGA」という国際編集委員会のメンバーで活躍されているという。本日、最終回を迎えるテレビ番組でもマルクスの晩年の思索について論じられることになっている。

斎藤氏によれば、そもそも資本論は、マルクスの生前に刊行されたのは第1巻のみであり、以後の2巻はエンゲルスが後を継ぎ刊行されたものであるという。マルクスは、晩年に膨大な草稿、研究ノートを残しており、そうした新たな資料をもとに、現在、新全集の刊行が進められている状況らしい。

『100分 de 名著 カール・マルクス 資本論』は、マルクス超入門書といった冊子であり、高校生が読んでも理解できる内容になっている。文章は具体的な事例も数多く取り上げられていて、わかりやすく、斎藤氏の頭脳は相当明晰であることがわかる。

改めて『共産主義者宣言』(現在、このように訳すべきであると柄谷行人氏は主張している)を読むと、大航海時代以後のグローバル化によって生じた新たな社会システムである資本主義がどのようなものなのか、そして、どのような問題が内在しているのかといったことが、明快に表現されていて驚かされる。マルクスの頭の中には来るべき19世紀後半から20世紀以後の資本主義の姿が明確に見えていたかのようである。

斎藤氏によれば、晩年、マルクスは自然科学の研究ノートをつくっていたこと、エコロジーのような分野に関心をもっていたこと、大きくは、地球環境の持続可能性のような問題を構想しようとしていたという。斎藤氏は、現在のグローバル資本主義の限界をマルクスの再読解から考え直そうとしているようである。マルクスの思想をもう一度謙虚に学び直し、その中にどのような豊穣な自然観、世界観が眠っているのか、それらを掘り起こし、目覚めさせる時がきたということなのかもしれない。

by kurarc | 2021-01-25 21:49 | books(本(文庫・新書)・メディア)