藤井風 『帰ろう』

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久しぶりにJ-POP(R&B)の逸材に出会った。藤井風(上写真 、CDジャケット)さんである。日本人のつくった音楽をあまり聴く方ではないが、彼の曲、唄は素晴らしい。

わたしが1980年以降、印象に残る日本人ミュージシャンをあげるとすると、まず麗美さんである。沖縄生まれの女性シンガー。荒井由実さんと一時、一緒に仕事をしていた。彼女の音楽は新しかった。次は、宇多田ヒカルさんだろうか。彼女はポルトガルに滞在しているときに、日本からのニュースで知った。初めは名前だけしかわからなかったので、男性か女性かもわからなかった。日本に帰国してから初めて聴いた。麗美さんと宇多田ヒカルさんとはおよそ20年の隔たりがある。そして、宇多田ヒカルさんから20年後の藤井風である。

どうも20年に一人、突出したミュージシャンが現れてくるのだろうか。彼のピアノのテクニックと歌声、テンションと転調を駆使した楽曲は、苦労してつくったというより、自然に身につけた音楽的センスをそのまま表現しているようで軽やかだ。岡山生まれということもあり、岡山の方言を取り入れた歌詞も多く興味深い。

『帰ろう』という曲が特に気に入っている。「帰る」という言葉は、今の日本人には新鮮に響くのではないだろうか。余計なものは手放して、どこかに帰りたいという心情、(しかし、どこに帰ったらよいのか?この曲で「帰る」とは「死を迎える」という意味であるようだが)「進む」、「行く」ことに疲れた日本人の心情を表現する動詞の魅力である。ブラジル人もよく歌詞の中に” 帰る ”という意味の” voltar ”という言葉を使う。彼には力強く生きるようなメッセージを歌い上げる曲だけでなく、ボサノヴァのように静かに語りかける音楽にも挑戦してほしい。今後の活躍が楽しみである。

*『帰ろう』のMVが話題になっている。わたしもこのMVでこの曲を知った。およそ5分間のMVだが、音楽世界と映像表現とが互いに補いあって、すばらしい作品をつくりあげている。

by kurarc | 2021-02-16 18:08 | music(音楽)