漢字について

漢字について_b0074416_22490596.jpg


この30年、手で文章を書くことがほとんどなくなったせいもあり、漢字を忘れていることが気になるようになった。およそ30年前、修士論文を書くために、一太郎(Ver.3)というソフトを使い、文章(論文)を書いたのが手書きから離れるきっかけであった。


漢字にはなぜ様々な音や読み方(音読み、訓読み)があるのか、へん(部首)にはどのような意味があるのか、はねるところ、はねないところの区別、筆順(書き順)はどうだったのか・・・etc. 手書きで漢字を書く場合、今更ながら疑問が生じる。


白川静氏の助けを借りる前に、もう少し簡潔に漢字について学べる書物はないか探していたが、ちょうど阿辻哲次著『漢字再入門』(中公新書)に出会った。上に述べたような素朴な疑問はすべてこの書物で解決できる。多くの興味深い内容を含む書物であったが、たとえば、筆順についての章(この書物では・・・時間目といった授業形式で進められている)で、結論から言うと、筆順は一通りに決まっているわけではないということである。


小学生の頃、担任の教師に筆順をうるさく指導されたという方々は多いと思うが、阿辻氏によれば、1946年に交付された当用漢字表、1949年に交付された当用漢字字体表によって旧字体が新字体に改められ、その後、文部省から『手びき』が出版され、漢字の筆順が一通りに示された。しかし、文部省は、『手びき』の「本書のねらい」の中で、ここに示されているもの(つまり筆順)が唯一正しいものではなく、それ以外の書き方で書いてもまちがいではない、とはっきり書いているという。


筆順については、混乱をきたさないようにという配慮から暫定的に決めたというものだったのである。たとえば、よくクイズに出題される「右」と「左」の筆順、一画目を「右」は縦から、「左」は一から書くのが正解とされるが、中国では両方とも一から書くのだという。


このような些細なことも今になって改めて気づかされるのだ。漢字は実に厄介な文字である。


by kurarc | 2021-03-24 22:48 | books(本(文庫・新書)・メディア)