山口昌男著 『学問の春 <知と遊び>の10講義』読了

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山口昌男著の『学問の春 <知と遊び>の10講義』を読了。前回のブログで書いたように、ユダヤ人、ユダヤ文化関連について調べているが、山口の著書『本の神話学』内の「ユダヤ人の知的熱情」を昔読んだことを思い出し、再読。その再読をきっかけに、山口の著書で読んでいなかった『学問の春』を読むことに。


1980年代に「都市の会」という多木浩二氏、中村雄二郎氏、前田愛氏、河合隼雄氏ほかメンバーによる知識人のグループがあり、現在、気がつくとこのメンバーの著書を集中して読んでいたが、(多木先生は大学時代、講義を聴講していたこともありもっとも身近に感じられる)ほぼわたしの父親世代の方々であり、父親的存在としての彼らから受け継ぐべき多くのものがあるからかもしれない。


『学問の春』は、山口文化人類学の入門書であり、人類学的思考を身につけるための良書である。ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』の内容をキーワードとして、講義形式(第10講ある)で進められる。人類学の話から子供の遊びへ、柳田國男からレヴィ=ストロースヘ、オランダ構造論からフランス社会学へ、ポトラッチからマハーバーラタへ・・・といった具合に、山口の雑学的宇宙が無限に展開され、興味は尽きることがない。


各講義のあとに付属している講義ノートが講義の内容の補足となり、理解に役立つ。巻末には読書案内を兼ねた参考文献一覧も掲載され、この著書から興味をひかれる分野へと飛躍していくときの手助けとなる。


新書は週2冊くらいのペースで読んでいるが、最近の新書は、専門分野の概要をとらえるには良書も多く、役に立っている。現在、新書マニアといってもよい状態である。本書で山口が岡正雄氏の弟子であったことも初めて気が付いた。わたしも山口のように雑学を極め、いつかその雑学が思わぬ結びつきをして、一つの宇宙を奏でられるようになればよいが。


by kurarc | 2021-04-12 22:39 | books(本(文庫・新書)・メディア)