映画『めぐり逢う朝』 音楽とは・・・

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アラン・コルノー監督の映画『めぐり逢う朝』は秀逸な映画であった。マラン・マレというフランス・バロック期のヴィオール奏者を題材とした映画といった知識しかなしに観始めた。映画はマレが恩師コロンブを回想する場面からはじまり、その実在した師サント・コロンブ(ヴィオール奏者の巨匠)とマレとの音楽に対する対話が映画の中心を彩っていた。むしろ、主人公はコロンブの方であった。映画最後に再びコロンブとの回想へ。


ストーリーはフィクションであるという。この映画では、宮廷音楽家として出世したマレとそうした世俗的な出世には無関心な師コロンブとの対立、確執も描かれていた。また、コロンブの長女マドレーヌとマレとの出会いと別れも。マレの演奏は素晴らしいが、おまえは音楽家ではない、というコロンブの言葉に、マレは迷いながらも、マレはそのことに薄々気がついていたようだ。そして、今はなき師を思いながらヴィオールを演奏するとき、マレは真の音楽をつかんだのか。コロンブは、「・・・沈黙は言葉の裏側でしかない・・・」とも語る。マレは師コロンブの言う音楽の意味をつかむことができたのか。音楽とは誰に語りかけるものなのか。その答は、この映画を観ていただくしかない。


この映画を観てヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)という楽器の音色の虜になった。チェロのような楽器であるがチェロの音ではない。また、ギターのような楽器でもあるが、ギターの音とも異なる。フランスのコロンブからマレの時代のヴィオールによるクラシック音楽はほとんど聴いたことがなかったので、これから開拓していきたいと思う。


この映画を観るようになったのは、恩師からいただいたCDがきっかけであった。この映画も恩師からの贈り物と同じである。そのことに感謝したい。


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by kurarc | 2021-06-01 19:50 | cinema(映画)