ガブリエーレ・バジリコ写真展へ

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イタリア文化会館で、ガブリエーレ・バジリコ写真展(上写真、イタリア文化会館HPより借用)を見学。ガブリエーレ・バジリコについては、文化会館からのメールマガジンで知った。ミラノ工科大学建築学部出身の写真家であり、建築や都市を中心に撮影する写真家のようである。2013年にすでに他界している。日本ではまだ知名度が高い写真家とはいえないようである。


写真展では1978年から2012年まで年代順に撮影された世界各国の建築、都市の写真が並べられていた。白黒からカラー写真まで様々な都市の様相を写した写真は、技巧に偏ることなく、真正面から撮影されているものがほとんどであった。ウォーカー・エヴァンスを師として感じていたようで、エヴァンスによるドキュメント(記録)としての写真、そして、誇張のない、自制心をもった撮影のスタンスに共感していた、ということがカタログに書かれていた。


ポルトガルの建築家、アルヴァロ・シザ・ヴィエイラとも友好関係があったようで、1995年に撮影したポルト(ウ・ポルト)を撮影した写真も会場にあった。1995年は、わたしがちょうど11年ぶりにポルトガルを再訪した年である。シザと友好関係があることは、会場でのカタログ(無料で配布されている)で知ったが、こうした偶然はいつも予期せず起こることである。


バジリコの建築、都市の写真は、都市のある一部分を考え抜かれた構図で切り取ったものだが、それは単に日常を切り取ったものばかりではない。1991年に撮影されたベイルートの写真は、内戦が終結し1年後に撮影されたもので、この写真展の中心をなす作品となっていた。そのうちの1枚は、ベイルートの廃墟の中、コートを着た一人の男がそのなかを歩いている姿が印象に残る写真であった。(男は遠景で撮影されていた。その男は注意しなければわからないほど小さい。写真の全域は廃墟である。)


いつものように、イタリア文化会館ではこうした写真展が無料で見学できる。さらに、今回はカタログもあり、このカタログ自体、バジリコについて日本語で書かれた初めてのものだという。建築関係者は必見の展覧会だろう。


by kurarc | 2021-06-13 15:29 | art(藝術)